エビデンスを基準にサプリを絞り込んだら、何が残るのか ― 42歳Web開発エンジニアの僕の場合、月額約10,000円で9成分に落ち着きました。Bryan Johnson の Blueprint を参考にしつつ、ITP(アイティーピー: 米国NIAが3機関で同時にマウス寿命を検証する試験プログラム。再現性が高い)で失敗した成分は外し、RCT(ランダム化比較試験)で裏付けがある成分を優先しています。体感での劇的な変化はほぼゼロですが、僕は半年ごとの血液検査の数値と、5年10年先の心血管イベントや認知機能で見ていこうと思っています 。なので翌日の手応えがないことは気にしていません。

※「Blueprint 68%一致」の定義: Bryan Johnson が2024年時点で公開しているサプリリスト約70成分のうち、僕が採用している5成分(クレアチン・タウリン・オメガ3・NMN・スペルミジン)と、サプリ以外の運動・食事・睡眠の設計思想を重ね合わせたざっくり自己評価です。

この記事の位置づけ

  • 個人の実践記録であり、推奨ではありません
  • 各成分のエビデンスは個別記事で詳しく扱っています
  • 半年ごとに見直して、採用・中止・差し替えを判断します

選定方針

僕は医師でもPhDでもない、ただの実践者です。Blueprint を全部真似するにはコストも手間も合わないので、次の4点で絞り込みました。

  • RCT・メタアナリシス(メタアナリシス: 複数のRCTを統合して効果を再評価する解析手法)で裏付けがある成分を優先する
  • ITPで失敗が確定している物質(レスベラトロール、フィセチンなど)は採用しない
  • 月額コストが現実的な範囲に収まること
  • 体感よりもデータを重視する

現在のスタック一覧

評価は「✓=今のところ外す理由がない」「△=半年後に見直す」という温度感です。コストは iHerb のセール時を基準にしています。

サプリメント 実購入品 1日の用量 タイミング 評価 月額
GlyNAC(グリシン+NAC) Swanson Glycine + CGN NAC w/Mo+Se グリシン5g + NAC(N-アセチルシステイン)3g 朝・夕に分割 ¥2,600
クレアチン CGN Sport Creatine Monohydrate 1kg 5g ¥800
タウリン Source Naturals Taurine 1000mg 2g(カプセル2粒) ¥900
スペルミジン Neurogan Health Spermidine 10mg 10mg(1タブレット) ¥1,500
オメガ3(EPA(エイコサペンタエン酸)/DHA(ドコサヘキサエン酸)) CGN Omega-3 Premium Fish Oil EPA 720mg + DHA 480mg 食事と一緒 ¥900
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド) CGN NMN Powder 90g 250mg ¥1,500
ビタミンD3+K2 CGN Vitamin D3+K2 MK-7 D3 125μg + K2 50μg ¥450
アスタキサンチン(2026-04追加) Micro Ingredients Astaxanthin 12mg 12mg(1ソフトジェル) ¥900
ザクロエキス(2026-04追加) Source Naturals Pomegranate Extract 500mg 500mg(1タブレット) ¥500
合計 約¥10,050

※価格はiHerb購入時の概算で、為替とセールで変動します。✓ は僕の中で継続確定、△ は注視しながら飲んでいる状態を指します。

予算別に「どこから始めるか」の目安

  • 月¥2,150 から(クレアチン+タウリン+ビタミンD3+K2の3本): エビデンスが手堅い最小構成 → iHerb厳選リスト・ミニマル構成
  • 月¥4,750 から(上記+GlyNAC=グリシン+NAC): グルタチオン補充を足した中堅構成 → iHerb厳選リスト・スタンダード構成
  • 月¥10,000 程度(このページのフル構成): 注視3成分まで含む実験枠込み → 本記事の下部を読み進めてください

僕個人としても、月¥2,150 のミニマル構成から始めて半年単位で増減していくほうが、財布にもエビデンス追跡にも優しいかなと思っています。

各成分の採用理由

GlyNAC(グリシン+NAC) ― 老化で半減するグルタチオンを前駆体から取り戻す

グルタチオンは加齢で半減する抗酸化物質ですが、そのまま飲んでも消化管で分解されてしまいます。そこで前駆体のグリシンとNACを補充して、体内で合成させる ― これが GlyNAC の狙いです。

Baylor医科大学の Sekhar グループが2本のRCTで酸化ストレス、ミトコンドリア機能、炎症マーカー、身体機能の改善を報告しています(Kumar et al., 2023)。仕組みの説明と臨床データがかみ合っている ので、スタックの中核に置いています。

用量は研究用量(体重依存で、70-80kgの成人ならグリシン・NAC 各7-8g、合計14-16g/日)の約半分にあたる8g/日(グリシン5g + NAC 3g)で運用しています。フルドーズで始めた最初の週、NACで胃が重くなって午前中の仕事がまったく手につかなかったので、半分に減らしました。コストとのバランスもあって、今はこの量で落ち着いています。

独立再現(Baylor以外のグループでのRCT)はまだゼロ というのが最大の不確実性です。この話の深掘りはGlyNAC完全ガイド で。

クレアチン ― 実は最初、飲んでいませんでした

正直に書くと、クレアチンをスタックに入れたのは去年(2025年)の夏です。それまで「筋トレ勢のもの」という先入観で避けていたのですが、認知機能のRCTが複数出ているのを見て態度を変えました。

筋力・運動パフォーマンスに関するメタアナリシスは膨大にあり、議論の余地がほぼありません。ここ数年は認知機能への効果 も複数のRCTで報告されはじめています。

僕は朝5g、Big 4 A/Bダンベルスプリット(胸・背中・肩・脚の4部位を2日に分けて回す自作の筋トレメニュー)のワークアウトと合わせて運用しています。月800円でこのエビデンス量はコスパが良く、今のところスタックの中で一番ドロップ理由が思いつきません。

タウリン ― Science論文のインパクトと価格の低さで採用

2023年にColumbia大学の Singh らが Science に発表した論文で、タウリン補充がマウス・サル・線虫で健康寿命指標を改善したと報告されました(Singh et al., 2023)。人間では横断研究で血中タウリン濃度と健康指標の相関が示されています。

人間で寿命や老化を直接見たRCTはまだなく、ITPでもまだ試されていません 。ただ月600円で安全性も高い成分なので、低リスク・低コストで追試を待ちながら飲んでいます(タウリン記事 )。

スペルミジン ― オートファジー誘導に惹かれて、でも人間RCTは薄い

スペルミジンはオートファジー(オートファジー: 細胞が古いタンパク質や傷んだ小器官を分解してリサイクルする仕組み)を誘導する物質として研究されています。Madeo / Eisenberg らの動物実験で寿命延長が報告され、人間では食事由来スペルミジン摂取量と心血管リスクの逆相関を示す疫学研究があります(Eisenberg et al., 2016; Madeo et al., 2018)。

介入試験(RCT)は小規模なものしかなく、ITPでもまだ試されていません 。スタックの中ではエビデンスが最も弱い部類です。小麦胚芽抽出由来の1mg/日で運用していますが、継続するかは半年後に再評価します。

ドロップ基準を具体的に書いておきます: 半年以内に (a) 100名以上の高用量RCT(3mg/日以上)で認知機能か心血管イベントの改善が出る、または (b) ITPで寿命延長が確認される、のどちらかが満たされなければ外します。どちらも出なければ、月3,000円を他の成分(アスタキサンチンなど)に回したほうが納得できる配分かなと思います。

オメガ3(EPA/DHA) ― 心血管系の大規模RCTが下地

心血管系に関するメタアナリシスは大量にあり、REDUCE-IT試験(高用量EPA、Bhatt et al., 2019)で心血管イベント減少が報告されています。一方、VITAL試験(Manson et al., 2019)では効果が限定的でした。

「誰にどの用量で効くか」は今もはっきり決着がついていません が、EPA 600mg + DHA 400mg/日を食事と一緒に飲んでいます。月1,500円、安全性は十分に確立されている成分です。

NMN ― 始めた時は期待が大きかった、今はドロップ候補

NMN はNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド: 代謝やDNA修復に関わる補酵素)の前駆体です。David Sinclair が広く取り上げたことをきっかけに、日本国内では一時的にブームになりました。僕も最初はかなり期待して、月5,000円以上の製品を買っていた時期があります。

ただ、今の評価は低めです。理由は ITPで類似化合物のNR(ニコチンアミドリボシド)が寿命延長に失敗している こと(Harrison et al., 2021)。人間のRCTもいくつか出ています(Yoshino et al., 2021 など)が、サンプルサイズが小さく結果も一貫していません(NMN記事 )。

月3,500円で250mg/日に減らして運用していますが、スタックの中で最もドロップ候補です。

ドロップ基準: 半年以内に (a) 300名以上のRCTでバイオマーカー(NAD+ 血中濃度だけでなくインスリン感受性・筋機能など)の臨床的に意味のある改善が出る、または (b) ITPでNMN自体が寿命延長を示す、のどちらかが満たされなければ外します。NRがITPで失敗している以上、NMNに求める条件は高めにしています。

コスト(月額)

サプリ単体より、AGA治療も合わせた健康関連支出の全体像で把握しています。月1万円台後半が僕の現時点での上限ラインです。

カテゴリ 月額
サプリメント合計 ¥10,050
AGA治療(デュタステリド+ミノキシジル) ¥5,000
総月額 約¥15,050

※AGA治療はロンジェビティとは別枠ですが、健康関連支出として参考までに載せておきます。

コスト最適化で僕がやっていること

  • iHerbのセールを活用する: 定期的に20〜25%オフがあります。まとめ買いで単価を下げる運用です
  • パウダータイプを選ぶ: グリシン、クレアチン、タウリンはパウダーのほうがカプセルより大幅に安いです
  • エビデンスが弱い成分は半年ごとに見直す: NMNとスペルミジンは半年ごとに新しいRCTが出ていないかチェックして、継続か中止を判断しています

体感の変化と、やらかした話

正直に書くと、劇的な体感はほぼありません

  • 運動パフォーマンス: クレアチン開始後、主観的にはレップ数が若干増えた気がします(プラセボの可能性あり)
  • 睡眠: 特に変化を感じません
  • 疲労感: 特に変化を感じません
  • 肌・見た目: 特に変化を感じません

ついでに過去の「やらかし」も書いておきます。スタックを整える前、フィセチン(セノリティクス: 老化した細胞を選択的に除去する機構を狙った成分群)に期待して半年ほど飲んでいた時期がありました。2022年のITP結果で雄雌どちらも寿命延長なしと出て、素直にドロップ。レスベラトロールも同じ経緯で外しました。買った分がもったいなくて使い切ったのは今でも苦笑いです。

量の試行錯誤もあります。GlyNAC を研究用量のフルドーズ(グリシン・NAC 各7-8g)で始めた週は、NACの硫黄臭と胃もたれで午前中の作業効率が明らかに落ちました。半分に減らしてから落ち着いています。NMNも最初は500mg/日で飲んでいましたが、コストの割に手応えがないので250mgに落として今に至ります。

「体感がないのになぜ続けるのか」と聞かれることがあります。僕は半年ごとの血液検査や生化学検査の数値と、5年10年先の心血管イベントや認知機能、生存率で判断していこうと思っています。飲んだ翌日に元気になる、みたいな効果は期待していません。

自分としては、体感がないことも含めて正直に書きたいので、そのまま載せておきます。

半年後の予定

ここまで書いてきた通り、半年単位で見直す運用にしています。今の時点での仕分けは次の通りです。

継続確定

  • クレアチン: エビデンス・コスト・安全性すべて優秀。今のところやめる理由は思いつきません
  • オメガ3: 同上
  • タウリン: 安い、リスクが低い。Science論文の追試を待ちながら継続

継続するが注視中

  • GlyNAC: Sekharグループ以外の独立RCTが出るかどうかで判断を変える予定

ドロップ候補

  • NMN: コストが高い割にエビデンスが弱い。ITPでNRが失敗している事実が重い。半年以内に強い人間RCTが出なければドロップ
  • スペルミジン: 人間RCTが不足。こちらも半年後に再評価

追加導入済み(2026-04)― いずれも実験枠

  • アスタキサンチン: Micro Ingredients Astaxanthin 12mg を定期便に投入、12mg/日で運用開始。Harrison 2024 の ITP初回コホートで雄マウス寿命12%延長という結果を受けて購入したものの、Korstanje 2026 (PMID: 41843349) の再現試験では寿命延長が出ず、プール解析では雌で短縮と関連する結果 も出ています。実験枠としての位置付けです。買ったぶんは半年飲み切って、それまでに追加の良い結果が出なければドロップします
  • ザクロエキス: Source Naturals Pomegranate Extract 500mg を定期便に投入。ウロリチンA(ミトファジー誘導)の前駆体で、月¥500程度のポリフェノール枠として加えました。寿命 RCT は無い成分なので、評価は△です

検討中

  • ラパマイシン: ITPで最強の結果が出ていますが処方薬。個人輸入のリスクと医師監修の可能性を検討中

よくある質問

このスタックをそのまま真似していいですか

推奨はしません。これはあくまで個人の実践記録です。持病や服用中の薬がある場合は、必ず医師に相談してほしいです。サプリメントの相互作用や体質による差もあるので、自己判断で始める場合は少量からが基本です。

なぜレスベラトロールやフィセチンを入れていないのですか

ITPで寿命延長に失敗しているからです。レスベラトロールは300ppmと1200ppmの2用量で検証されましたが、いずれも効果なし。フィセチンも ITPでは雄雌どちらでも効果が認められませんでした。詳細はITP結果まとめ を参照してください。

月12,000円は高いですか、安いですか

人によりますが、ミニマル構成(クレアチン+タウリン+ビタミンD3+K2)なら月2,200円程度から始められます。エビデンスが最も強い成分から積み上げるやり方が、僕には一番しっくりきています。銘柄レベルの話は iHerb厳選リスト で実購入ベースに整理しています。

Bryan Johnson Blueprint との違いは何ですか

Blueprint は100成分以上で月数十万円という規模ですが、僕は「人間RCTとITPで裏付けがある6成分」に絞っています。68%一致の算出は、Bryan のサプリリストのうち僕が採用している成分(クレアチン・タウリン・オメガ3・NMN・スペルミジン)と、サプリ以外の運動・食事・睡眠の設計思想を重ねた、僕の自己評価です。Blueprintの全貌はBryan Blueprint実践記 で扱っています。

参考文献

  1. Kumar P, et al. (2023). Supplementing Glycine and N-Acetylcysteine (GlyNAC) in Older Adults. J Gerontol A. 78(1):75-89.
  2. Singh P, et al. (2023). Taurine deficiency as a driver of aging. Science. 380(6649):eabn9257.
  3. Bhatt DL, et al. (2019). Cardiovascular Risk Reduction with Icosapent Ethyl for Hypertriglyceridemia (REDUCE-IT). N Engl J Med. 380(1):11-22.
  4. Manson JE, et al. (2019). Marine n−3 Fatty Acids and Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer (VITAL). N Engl J Med. 380(1):23-32.
  5. Kreider RB, et al. (2017). International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation. J Int Soc Sports Nutr. 14:18.
  6. Eisenberg T, et al. (2016). Cardioprotection and lifespan extension by the natural polyamine spermidine. Nat Med. 22(12):1428-1438.
  7. Madeo F, et al. (2018). Spermidine in health and disease. Science. 359(6374):eaan2788.
  8. Harrison DE, et al. (2021). 17-α-estradiol late in life extends lifespan in aging UM-HET3 male mice; nicotinamide riboside and three other drugs do not affect lifespan in either sex. Aging Cell. 20(5):e13328.
  9. Yoshino M, et al. (2021). Nicotinamide mononucleotide increases muscle insulin sensitivity in prediabetic women. Science. 372(6547):1224-1229.

※サプリメントとの因果関係は不明です。

※個人の感想であり、効果を保証するものではありません。

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