エビデンスを基準にサプリを選んだら、何が残るのか。42歳のWeb開発エンジニアである僕の場合、2026年10月の時点で12商品・11成分、月額は約16,810円です。参考にしたのは Bryan Johnson の Blueprint です。成分を見るときは、ITP(アイティーピー: 米国NIAのマウス寿命試験)と RCT(ランダム化比較試験)の結果を確認しています。ただ、ITPで寿命延長が出なかったフィセチンや、人間の試験がまだ少ない成分も入っていて、全部がエビデンスの強い成分というわけではありません。飲んだ翌日に何かが変わるような手応えは、ほぼありません。僕が見ているのは、半年ごとの血液検査の数値と、5年先、10年先の心血管イベントや認知機能です 。
※「Blueprint 68%一致」は、僕のざっくりした自己評価です。Bryan Johnson が公開しているサプリは数十種類あります。そのうち僕も飲んでいるのが、クレアチン・タウリン・オメガ3・NMN・スペルミジンの5成分でした。そこに、サプリ以外の運動・食事・睡眠の考え方の重なりを足して出しました。
この記事の位置づけ
- 個人の実践記録で、推奨ではありません
- 各成分のエビデンスは、個別記事があるものはそちらで詳しく書いています
- 半年ごとに見直して、続ける・やめる・入れ替えるを決めます
今のサプリスタック12商品と月額
1日量は、どれもラベルの推奨量どおりです。月額は、2026年10月2日に iHerb で見た表示価格を、1容器が何日もつかで割って30日分にした概算です(10円単位で四捨五入)。為替とセールで変わります。GlyNAC は NAC とグリシンを別々の商品で買っているので、11成分で12商品になります。
予算別に「どこから始めるか」の目安
上の表の月額で計算すると、次のようになります。
- 月¥1,610 から(クレアチン+タウリン+グリシン)。僕のスタックから3本に絞った最小構成です
- 月¥2,290 から(上の3本+NAC)。グリシンとNACでGlyNACになり、グルタチオンの材料まで入る構成です
- 月¥16,810 程度(このページのフル構成)。人間の試験が少ない成分まで含みます → この下で1つずつ書いています
僕自身、もし今から始めるなら、ミニマル構成にして、半年ごとに足したり引いたりすると思います。そのほうが財布にも、エビデンスを追いかける手間にも優しいかなと。銘柄の比較は iHerb厳選リスト にまとめています。
サプリを選んだ基準
僕は医師でもPhDでもありません。ただの実践者です。Blueprint を全部真似するのはお金も手間も見合わないので、自分なりの基準で絞りました。
- RCTやメタアナリシスで裏付けがある成分を先に選ぶ
- ITPの結果を確認する
- 月額が現実的な範囲に収まる
- 体感よりもデータを見る
ただ、今のスタックはこの基準どおりになっていない部分もあります。フィセチンはITPで寿命延長が出ていませんが、今は飲んでいます。ケルセチン、ザクロエキス、スペルミジンのように、人間のRCTが少ない成分も入っています。
メタアナリシスは、複数のRCTをまとめて効果を計算し直す解析のことです。ITPのほうは、米国NIA(国立老化研究所)が3つの機関で同時にマウスの寿命を調べる試験プログラムです。再現性が高いことで知られています。
11成分を1つずつ、研究でわかっていること
GlyNAC(グリシン+NAC)でグルタチオンを体の中で作る
グルタチオンは体内の抗酸化物質で、年をとると半分ほどに減ります。そのまま飲んでも消化管で分解されてしまうんです。そこで材料のグリシンとNAC(N-アセチルシステイン)を飲み、体の中で作ってもらおうというのが GlyNAC の考え方です。
Baylor医科大学の Sekhar グループは、これを2本の臨床試験で調べました。2021年のパイロット試験(プラセボ群なし)と、2023年のRCTです(Kumar et al., 2021; 2023)。酸化ストレス、ミトコンドリア機能、炎症マーカー、身体機能の改善が報告されています。仕組みの説明と臨床データがかみ合っている ので、スタックの中心に置きました。
研究で使われた量は体重で決まります。70-80kgの成人なら、グリシン7-8gとNAC 9-11gで、合計16-19g/日です。僕が飲んでいるのはラベルの推奨量どおりで、NAC 600mg(1カプセル)とグリシン1g(1スクープ)、合計1.6g/日です。研究用量の約1割で、研究と同じ量ではありません 。この量で研究と同じ結果が出るかどうかは、わかっていません。NACのほうの商品には、セレン25mcgとモリブデン50mcgも入っています。
もう1つ不確かなのは、独立再現(Baylor以外のグループでのRCT)がまだゼロなことです。くわしくはGlyNACの個別記事 に書きました。
クレアチンは、最初は飲んでいませんでした
クレアチンを入れたのは去年(2025年)の夏です。それまでは「筋トレをする人のもの」という思い込みがあって、避けていました。考えが変わったのは、認知機能を調べたRCTがいくつも出ているのを見てからです。
筋力や運動パフォーマンスについてはメタアナリシスが山ほどあって、ほとんど議論の余地がありません。ここ数年は認知機能への効果 を報告するRCTも、複数出てきました。
飲み方は朝5gで、Big 4 A/Bダンベルスプリットのワークアウトと合わせています。胸・背中・肩・脚の4部位を2日に分けて回す、自作の筋トレメニューです。月700円でこれだけ研究がそろっているのは、コスパがいいと感じています。今のところ、スタックの中でいちばん外す理由が思いつきません。
タウリンは、Science論文と値段の安さで決めました
2023年、Columbia大学の Singh らが Science に論文を出しました。タウリンを補うと、マウス・サル・線虫で健康寿命の指標が改善したという報告です(Singh et al., 2023)。人間では、血中のタウリン濃度と健康指標に相関があるという横断研究があります。
ただ、人間で寿命や老化を直接見たRCTはまだなく、ITPでもまだ試されていません 。僕はカプセルで1g/日、月510円です。安全性も高いので、損の小さいうちに飲みながら追試を待っています(タウリン記事 )。
オメガ3(EPA/DHA)は、大規模RCTでも結果が分かれています
心血管系についてはメタアナリシスが大量にあります。高用量EPAのREDUCE-IT試験では、心血管イベントが減ったと報告されました(Bhatt et al., 2019)。VITAL試験(Manson et al., 2019)のほうは、効果が限られていました。
誰にどの量なら効くのかは、今もはっきりしていません。僕は1日2粒(EPA 360mg + DHA 240mg)で、月1,060円です。安全性は十分に確かめられている成分です。
スペルミジンは、人間のRCTが少ない成分です
スペルミジンは、オートファジーを起こす物質として研究されています。オートファジーは、細胞が古いタンパク質や傷んだ小器官を分解して再利用する仕組みのことです。Madeo / Eisenberg らの動物実験では、寿命の延長が報告されました。人間では疫学研究があり、食事からのスペルミジン摂取量が多い人ほど心血管リスクが低いと出ています(Eisenberg et al., 2016; Madeo et al., 2018)。
介入試験(RCT)は小規模なものしかなく、ITPでもまだ試されていません 。スタックの中では、エビデンスが弱い部類に入ります。僕が飲んでいるのは Neurogan Health の製品で、1錠(スペルミジン3HCl 10mg)/日、月820円です。
NMNは、近い物質のNRがITPで寿命延長に失敗しています
NMN は、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の前駆体にあたります。NAD+ は、代謝やDNA修復に関わる補酵素です。David Sinclair が広く取り上げたのをきっかけに、日本でも一時ブームになりました。僕も最初はかなり期待していて、月5,000円以上の製品を買っていた時期があります。
気になっているのは、ITPで、よく似たNR(ニコチンアミドリボシド)が寿命延長に失敗している ことです(Harrison et al., 2021)。人間のRCTもいくつか出ています(Yoshino et al., 2021 など)。ただ、どれも人数が少なく、結果もそろっていません(NMN記事 )。
今は California Gold Nutrition のNMNパウダーを1スクープ(300mg/日)で、月1,140円です。
ザクロエキスは、ウロリチンAの材料として研究されています
ザクロに含まれるエラグ酸などのポリフェノールは、腸内細菌によってウロリチンAという物質に変わります。ウロリチンAは、傷んだミトコンドリアを分解する仕組み(ミトファジー)を促す物質として研究されています。
人間では、高齢者にウロリチンAそのものを4週間飲んでもらった試験があります。500mgと1,000mgで安全性に問題はなく、筋肉のミトコンドリア関連の遺伝子発現に変化が出たと報告されました(Andreux et al., 2019)。ただ、これはウロリチンAを直接飲んだ試験です。ザクロエキスからどれだけウロリチンAが作られるかは、腸内細菌によって人ごとに違います。ザクロエキスで寿命を見たRCTはありません 。
僕は1日2錠(ザクロ果実エキス1g、エラグ酸400mg)で、月1,020円です。
ケルセチンは、ダサチニブとの組み合わせで研究されてきました
ケルセチンは、玉ねぎやりんごにも含まれるフラボノイド(ポリフェノールの一種)です。老化研究では、セノリティクスの候補として調べられてきました。セノリティクスは、分裂をやめて炎症物質を出し続ける「老化細胞」を選んで取り除くことを狙った物質のことです。
Mayo Clinic の Xu らは、抗がん剤のダサチニブとケルセチンを組み合わせて(D+Q)、年をとったマウスに間を空けて飲ませました。投与開始後の生存期間が36%延びたと報告されています(Xu et al., 2018)。人間でも、糖尿病性腎臓病の患者9人に D+Q を3日間だけ飲んでもらった小さな試験で、脂肪組織と皮膚の老化細胞が減ったと報告されました(Hickson et al., 2019)。
ただ、どちらもダサチニブ(処方薬)との組み合わせで、ケルセチン単独の結果ではありません 。研究の飲み方も数日だけの間欠投与で、毎日飲む使い方とは違います。僕は1日2カプセル(ケルセチン800mg+ブロメライン165mg)で、月1,960円です。
フィセチンは、ITPでは寿命が延びませんでした
フィセチンも、いちごなどに含まれるフラボノイドです。2018年の Yousefzadeh らの研究では、10種類のフラボノイドの中でフィセチンが老化細胞をいちばん強く減らしました。年をとってから与えた野生型マウスで、寿命の中央値と最大値が延びたと報告されています(Yousefzadeh et al., 2018)。
一方で、ITPでは、フィセチンは雄雌どちらでも寿命を延ばしませんでした (Harrison et al., 2024)。3機関で同時に調べる試験で再現されなかった、ということです。くわしくはITP結果まとめ に書いています。
僕は1日1カプセル(フィセチン125mg+吸収用ブレンド350mg)で、月3,390円です。スタックの中では、マルチビタミンに次いで2番目に高い商品です。
CoQ10は、セレンとの組み合わせで調べたRCTがあります
CoQ10(コエンザイムQ10)は、ミトコンドリアでエネルギーを作る過程に関わる物質です。体内でも作られています。
スウェーデンでは、70-88歳の443人を対象に、セレンとCoQ10を一緒に飲む群とプラセボ群に分けたRCTが行われました(KiSel-10試験)。5.2年の追跡で、心血管死亡は5.9%と12.6%で、飲んだ群のほうが少なかったと報告されています(Alehagen et al., 2013)。
ただ、セレンとの組み合わせなので、CoQ10単独の結果としては読めません 。人数も443人と大きくはありません。僕は1日1カプセル(ユビキノン型のCoQ10 200mg+黒コショウ抽出物5mg)で、月840円です。
マルチビタミン・ミネラルは、大規模研究で結果が分かれています
マルチビタミンは、大規模な研究がいくつかある分野です。米国の男性医師14,641人を対象にしたRCT(Physicians’ Health Study II)では、中央値11.2年の追跡で、がん全体の発生がプラセボ群より8%少なかったと報告されました(Gaziano et al., 2012)。同じ試験で、主要な心血管イベントには差がありませんでした(Sesso et al., 2012)。
2024年には、米国の3つのコホート研究、約39万人のデータをまとめた解析が出ました。マルチビタミンを飲んでいる人の死亡リスクは、飲んでいない人より低くはありませんでした(Loftfield et al., 2024)。
この商品には、ビタミンD3が40mcg(1,600IU)入っています。ビタミンD3を1日2,000IU飲んだVITAL試験では、がんと主要な心血管イベントの発生にプラセボ群との差は出ていません(Manson et al., 2019, ビタミンD)。
僕は1日3カプセルで、月4,290円です。スタックの中でいちばん高い商品です。
今は飲んでいないもの
以前この記事に書いていたもののうち、アスタキサンチン、レスベラトロール、単体のビタミンD3+K2は、今は飲んでいません。
アスタキサンチンは、ITPの初回コホートで雄マウスの寿命が12%延びていました(Harrison et al., 2024)。ただ、Korstanje 2026 の再現試験では寿命延長が出ず、プール解析では雌で短縮と関連する結果も出ています(Korstanje et al., 2026)。
レスベラトロールは、ITPで300ppmと1200ppmの2用量で調べられましたが、どちらも寿命延長はありませんでした(Miller et al., 2011)。
月額コストと、安く抑えるためにしていること
サプリだけでなく、AGA治療も合わせた健康関連の支出として見ています。
| カテゴリ | 月額 |
|---|---|
| サプリメント合計 | ¥16,810 |
| AGA治療(デュタステリド+ミノキシジル) | ¥5,000 |
| 総月額 | 約¥21,810 |
※AGA治療はロンジェビティとは別枠ですが、健康関連の支出として参考に載せました。
サプリの中で金額が大きいのは、マルチビタミン・ミネラル(月4,290円)とフィセチン(月3,390円)です。この2つで月7,680円、サプリ合計の約46%になります。逆に、クレアチン(月700円)、タウリン(月510円)、グリシン(月400円)、NAC(月680円)は1,000円を切っています。
安く抑える工夫は、そんなに凝ったものではありません。iHerbでは定期的にセールがあるので、そこでまとめ買いして単価を下げています。グリシンとクレアチンは、カプセルよりパウダーのほうがかなり安いです。エビデンスの弱いNMNとスペルミジンは、半年ごとに新しいRCTを確認しています。
体感の変化
劇的な体感は、ほぼありません。
- 運動パフォーマンス: クレアチンを始めてから、レップ数が少し増えた気がします(主観で、プラセボの可能性もあります)
- 睡眠、疲労感、肌・見た目: どれも特に変化を感じていません
「体感がないのに、なぜ続けるの?」と聞かれることもあります。僕が判断に使うのは、半年ごとの血液検査や生化学検査の数値です。その先は、5年、10年たったときの心血管イベントや認知機能、生存率を見ていくつもりでいます。飲んだ翌日に元気になるような効果は、もともと期待していません。体感がないことも含めて正直に残したかったので、そのまま書きました。
これからの見直し
続けると決めているのは、クレアチン、オメガ3、タウリンです。クレアチンはエビデンスも値段も安全性も申し分なく、今のところやめる理由がありません。オメガ3も同じです。タウリンは安くてリスクが低いので、Science論文の追試を待ちながら続けます。
GlyNACは続けますが、Sekharグループ以外から独立したRCTが出るかどうかで、判断を変えるつもりです。今の量が研究用量の約1割であることも、上に書いた通りです。
ほかの成分は、上の節に書いた研究の状況のままです。NMN、スペルミジン、ザクロエキス、ケルセチンは人間のRCTが少なく、フィセチンはITPで寿命延長が出ていません。CoQ10とマルチビタミンは人間のRCTがありますが、結果は組み合わせや対象によって分かれています。
まだ検討の段階なのが、ラパマイシンです。ITPでいちばん強い結果が出ていますが、処方薬なんですよね。個人輸入のリスクと、医師に監修してもらう可能性を考えているところです(ラパマイシン記事 )。
よくある質問
このスタックをそのまま真似していいですか
おすすめはしません。あくまで個人の実践記録です。持病がある方や薬を飲んでいる方は、必ず医師に相談してほしいです。サプリ同士の相互作用や体質による差もあるので、自分の判断で始めるなら、少量からにするのが基本だと思っています。
ITPで寿命が延びなかった成分も入っていますか
入っています。フィセチンは、ITPで雄雌どちらでも寿命延長が出ていません(Harrison et al., 2024)が、今は飲んでいます。レスベラトロールもITPで寿命延長がなく(300ppmと1200ppmの2用量)、こちらは今は飲んでいません。ITPの結果の一覧はITP結果まとめ を見てください。
月16,810円は高いですか、安いですか
人によると思います。僕のスタックから最小に絞るなら、クレアチン+タウリン+グリシンで月1,610円程度の計算です。クレアチンとタウリンの2本だけなら月1,210円です。エビデンスの強い成分から積み上げていくやり方が、僕にはしっくりきています。銘柄の話は、実際に買ったものをもとに iHerb厳選リスト で整理しました。
Bryan Johnson Blueprint との違いは何ですか
Blueprint はサプリだけで数十種類、月数十万円という規模です。僕は11成分(12商品)、月約16,810円です。68%一致の出し方は冒頭の注の通りです。成分の重なりに、運動・食事・睡眠の考え方の重なりを合わせた自己評価です。Blueprintの全体像はBryan Blueprint実践記 で書いています。
参考文献
- Kumar P, et al. (2023). Supplementing Glycine and N-Acetylcysteine (GlyNAC) in Older Adults. J Gerontol A. 78(1):75-89.
- Singh P, et al. (2023). Taurine deficiency as a driver of aging. Science. 380(6649):eabn9257.
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- Korstanje R, et al. (2026). Astaxanthin, meclizine, mitoglitazone, pioglitazone, alpha-ketoglutarate, mifepristone, methotrexate, and atorvastatin-telmisartan do not increase lifespan in UM-HET3 mice. GeroScience. 48(3):3821-3830.
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- Sesso HD, et al. (2012). Multivitamins in the prevention of cardiovascular disease in men: the Physicians’ Health Study II randomized controlled trial. JAMA. 308(17):1751-1760.
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- Manson JE, et al. (2019). Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease. N Engl J Med. 380(1):33-44.
※サプリメントとの因果関係は不明です。
※個人の感想であり、効果を保証するものではありません。
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